例えば固定ドを使っている方が、Eメジャーの曲で「ソラーソファーミー」と歌ってメロディを説明する事があります。音名はG#-A-G#-F#-Eで、移動ドでは「ミファーミレードー」となりますが、じゃあ「固定ドでは『ソ#ラーソ#ファ#ー ミー』と歌わなきゃ変じゃない?」と考えたことはありますか?

そんな疑問や違和感を解決してくれるのが、クロマチック(半音階)ソルフェージュです。

覚え方は簡単で、シャープする場合は母音を「イ(ē)」に変え、フラットは「エ(ā)」(レのフラットを除く)に変えるだけです。

クロマチックスケール上昇ソルフェージュ

クロマチックスケール上昇ソルフェージュ

クロマチックスケール下降ソルフェージュ

クロマチックスケール下降ソルフェージュ

クロマチックソルフェージュを覚えるメリット

1. 初見演奏が向上する

音符を見たときに半音の変化を直感的に理解できるようになるため、楽譜をスムーズに読めるようになります。特に転調の多い曲を歌う際に役立ちます。

2. 音程感覚(インターバル感)が鍛えられる

半音階を歌うことで、音程やスケールの変化を的確に捉えられるようになります。

3. コードの理解が深まる

コードの半音進行(例:ド→ディ→レ など)を意識できるようになるため、より深く理解し、アドリブを含む演奏に活かすことができます。

4. 転調やモーダルインターチェンジに強くなる

クラシック音楽やジャズなどでは、転調や異名同音(例: C#とD♭)を多用するため、半音階のソルフェージュを身につけると楽曲の構造を素早く把握できます。またこれと同様に「移動ド」を理解すれば、より早く転調に対応しやすくなります。

「移動ド」と「固定ド」の違い

5.相対音感のトレーニングになる

半音単位の音の違いを正確に認識し、歌う練習をすることで、相対音感(基準となる音からの距離で音を認識する力)が鍛えられます。

ドレミの変形

それではマイナーキーをどのように歌うのか、見てみましょう。マイナースケールの最初の音を「ド」として始めるのか「ラ」から始めるのかで異なりますが、ナチュラルマイナースケールはメジャースケールの3度、6度、7度がフラットになるので、それらの音が「ミ→メ」「ラ→レ」「ティ→テ」に変わります。またリディアンスケールなど4度がシャープする場合は、「ファ→フィ」になります。

これがすんなり歌える(声に出さずとも、頭の中でピッチを把握できる)ようになると、メロディやフレーズの理解度がグッと増します。

上段は「ド」からスタートした場合、下段は平行調(「ラ」からスタート)の場合です。動画では全て「ド」からスタートしていますが、どの音がメジャースケールと比べて変わっているのかを理解するのがポイントです。マイナースケールの場合で「ラ」から始まる方がしっくり来る場合は、そちらでも良いと思います。

Cナチュラルマイナー (Cエオリアン)

C Natural Minor

Cハーモニックマイナー

C Harmonic Minor

Cメロディックマイナー

C Melodic Minor

その他モードを含めた一覧のPDFはこちらからダウンロードできますので、ご活用ください。