編曲後記 「相互供養和讃」

相互供養和讃

6/9にGUNEI三島ホールで行われた「和のステージ」にて、2曲目に演奏した「相互供養和讃」。

この曲は、那須町にある高福寺のイベントで音響をお手伝いさせて頂いた時に初めて耳にしました。その時はボーカル、ピアノ、フルートのトリオ構成でしたが、その美しさに衝撃を受けました。心動かされる感動は本当に久々で、いつかこの曲を演奏してみたいという気持ちが湧き出てきました。今回は御詠歌を歌う高福寺の副住職である楠本隆幸さんに、和のステージに出演を依頼したところ快諾していただき、共演することが出来ました。

音源と原曲楽譜

まずアレンジをするにあたり、楠本さんがアカペラで歌った音源と原曲の楽譜を頂き、それを基に編曲を始めました。楽譜にはメロディと1番の歌詞しか書かれていなかったので、まずはコードをつけていくことにしました。キーはDmaj or Bminで、メロディはペンタトニックで構成されています。

この曲のメロディ全体を見てみると、移動ドで言う「ド」で始まる、もしくは終わるところが一箇所もありません。フレーズが終わる箇所は大抵「ソ」か「レ」で、こういったメジャーでもマイナーでも解釈次第でどうとでもとれる感じは、日本独特のものなのでしょうか? 君が代もそうですしね。

そしてテンポですが、4/4拍子でBPM45と書いてありますが、音源を聴く限りBPM30くらいの超スローテンポなことに気づきました。これでは演奏する時にロストする可能性が高いので、アレンジ譜ではダブルタイムBPM65とし、四分音符は二部音符へ変換し、1小節を2小節に分けて作ることにしました。

苦しい旅路を勇気づける歌

この御詠歌は、今から約1300年前、お遍路で誕生したそうです。当時は道無き道をかき分けて進みお参りするという、まさに命がけの旅でした。そんな旅の中で「もうダメかもしれない。もうここで自分の旅は終わってしまう。」と弱気になってしまう事もありました。そんな時に自分の気持ちを奮い立たせたもの、それが「御詠歌」だそうです。そんな旅路をイメージすると、やはり軸はメジャーにしたいと思ったのでDmajで進めることにします。

イントロがなかったので、まずイントロ作成に取りかかります。ダイアトニックのありがちなものではつまらないので、b6maj7とV7sus4の組み合わせにしました。歌の始まりはトニックを提示するためにDsus2、しかしすぐさまC#-7(b5) – F#7sus4 – B-7とマイナーへ行きます。この時のF#7をb13ではなくsus4にすることで軽くしました。そこからは基本的にDメジャーのダイアトニックコードで進みますが、インバージョンを所々に散りばめながら、ベースラインの動きも作っています。またずっとダイアトニックで進むのも一本調子になってしまうので、部分的にモーダルインターチェンジでCmaj7を入れてあります。

そんな感じで出来上がった曲がこちらです。

楽譜はこちらから
https://store.piascore.com/scores/270854

https://youtube.com/watch?v=PQI2ben4cpA%3Frel%3D0

コメントを残す